chikusai diary

昭和という時代に どこででも見ることができた風景を投稿しています。

2022-01-01から1年間の記事一覧

紅葉の盛りに洛北芸術村を歩いて思ったこと ー 美は諧調にあり?

かつて小説家の瀬戸内晴美(寂聴)さんは『美は乱調にあり』という小説を書いた。その内容は知らないけれど、職場の同僚でキリスト教信者にしてアナーキスト(そんなんあり?)を自称していた男から聞いたその言葉が今でも頭の片隅に残っている。 お土居越し…

青蓮院門跡に陰翳と雅を観る

樹齢800年余のクスノキ 相阿弥の庭 小御所を望む いつかは数寄屋風の家に住んでみたい、と夢を見た。仕事柄、国宝や重要文化財である建物に出入りすることがあった。書院造り、寝殿造りの魅力とそこでの生活の大変さも、人よりは肌で感じている。夏は良いと…

すべてはここから始まった「陰翳礼讃」?

" わらじや " 鞄一つを肩に掛け、ふらっと京都に来てから間もなく半世紀が経とうとしている。その頃のことだ、下宿先は見つけたものの、まだ勤め先は決まっていなかったので、出費を抑えるべく毎日インスタントラーメンばかり食べていた(たまにはハムカツを…

お泊りは鴨東の路地を入ったところ?

" 大分その辺を歩いた後、わたくしは郵便局の立っている路地口の煙草屋で、煙草を買い、五円札のつりを待っていた時である。突然、「降って来るよ」と叫びながら、白い上っ張りを着た男が向い側のおでん屋らしい暖簾のかげに駆け込むのを見た。つづいて割烹…

陰翳礼讃と鴨東奇譚!?

・ 前回のシリーズは、十代最後の歳から二十代はじめにかけて撮影したもので半世紀ほど経たものだった。今回お目にかける写真は三十代から七十代にかけて撮影したもの。フィルムによるモノクロ写真あり、デジタルになってからのカラー写真ありと色々ある。題…

昭和の祇園祭をちょっと覗いてみた ー ニコンNEW FM2 で撮る宵山

宵山の朝 今年は祇園祭の山鉾巡行が行われるようです。この時期、京都ではもっとも蒸し暑いときです。そして巡行の前日、前々日の宵山・宵々山の夜は山鉾町の辻々にはたくさんの人であふれかえります。三十余年前、そんな光景をちょっとだけ見ました。 路地…

伊勢神宮のふる里 - 丹後一の宮元伊勢籠神社と その奥宮・眞名井神社をたずねて

元伊勢籠神社鳥居 元伊勢籠(この)神社は、この奥にある眞名井神社から遷された(祭神の豊受大神と天照大神が伊勢に遷れたあと)もので彦火明命(ひこほあかりのみこと)を主祭神としてお祀りしているという。伊勢神宮外宮と内宮の両方の元であることから「…

雪舟も描いた巡礼の道と五重塔 ー 成相山-成相寺(国宝・天橋立図)

かの画聖-雪舟えがくところの「天橋立図」をTV番組で見てから、その図の最上部に描かれていた成相寺(なりあいじ)を機会があれば訪ねてみたいと思っていた。その機会は早くもやってきた。 成相寺山門 成相寺は日本三景の一つである天橋立を眼下に望む景勝地…

白砂青松の道をゆく ー 天橋立

天橋立の砂浜(北の方角を望む) 日本三景の一つである天橋立を訪ねるのは実に四十余年ぶりである。その時は想像と違っていたのでがっかりして帰った覚えがある。あの頃は天橋立にはゴミが散乱していたので、砂州を歩いて対岸に渡る気持ちが萎えてしまい、途…

丹後半島巡礼の道

ご無沙汰していました。世間が騒がしくなり、ブログ作成から遠ざかっていました。先日、連れ合いが元伊勢籠神社にお参りしたいというので天橋立から元伊勢籠神社・真名井神社などへ「巡礼の旅」に出かけてきました。その報告といたしますので、しばしお付合…

雪解けの頃 ー 火の見櫓の見える風景(津軽シリーズ最終回)

茅葺き屋根の家の右側に火の見櫓が見える。このあたりの集落も好きな集落のひとつで、とりわけ秋から冬にかけての光景は印象的だった。都会育ちの者には、驚くような光景を目にすることがある。寂しい風景と思い目を背ける者がいれば、郷愁を感じる風景と思…

雪解けの頃 ー 春霞

津軽鉄道の見える風景 津軽平野を歩いていると周りは水田ばかり。どういうわけか写した写真には、津軽鉄道の線路が数多く入っている。意図して撮影したわけではなく、直感で構図を決めた中に入っていただけである。それと水田の中にやたらと電柱が立っている…

雪解けの頃 ー 泥濘の道をゆく

泥濘の道は舗装前の国道339号線。撮影地点は北津軽郡中泊町だったと記憶する。すぐ西には十三湖がある。このお婆さんとしばらくの間連れ添って歩いたら、商店に買物に入った。商店主と会話をしているところを撮影したけど、手ブレ写真だったのでボツに。…

林床に咲く花 ー もっと光を!

北の国からは、まだまだ雪の便りが聞かれる今日この頃、京都市内の植物園では春の訪れを知らせるかのように林床に咲く可憐な花が姿を見せるようになった。 フクジュソウ セツブンソウ ユキワリイチゲ ミスミソウ(ユキワリソウ?) ついでに…

雪解けの頃 ー 買い物帰り

津軽の婆さま(金木町藤枝集落) わたしがまだ若かった頃、何を思ったのか陸奥を二年ほど行脚 していた時期がある。北面の武士だった方を気取ったわけでは ない。文武両道どころか詩の才能は無い、音楽の才能もない、 あるのは初月給で購入した中古の一眼レ…

津軽野を馬橇がゆく

馬そり 昭和四十年代、まだまだ馬が活躍していた津軽地方。わたしが幼い頃(昭和二十年代)、馬は家族の一員であった。母屋の北の端、台所の隣が馬の部屋であった。主に農耕に使われていた馬、いつの間にか馬の姿は消えていた。

陽のあたらない村・袰月

ほろづき村 陽のあたらない村袰月( ほろづき )という土地の名を知ったのは、詩集『まるめろ』を読んだことによる。 袰月へは、津軽半島最北端の駅、三厩(みんまや)から海沿いの雪道を 二時間は歩いたであろうか。集落は北に津軽海峡、道路をはさんで南側…

北野天満宮 ー 匂ひおこせよ梅の花

楼 門 北の国からは大雪の便りがとどくこの頃、西国では梅の開花が聞かれるようになった。菅原道真公を祀る北野天満宮では梅の匂いはただよっているだろうか、ふとそんな思いに囚われたので敬老パス(無料ではない!)を持って市バスに乗ったのは昨日のこと…

カッチョと防風林のある風景 ー 金木町藤枝集落

茅葺屋根に雪積る日 しんしんと雪の降る中を歩く。肌を刺すような風はなかった。農家の庭先や母屋の軒下に洗濯物が干されている。洗濯物が乾くまでに幾日かかるだろうか。脱水機どころか全自動洗濯機のなかった時代には、木製のタライで固形石鹸を用いて手洗…

雪遊び

金木町嘉瀬(現 五所川原市)の里山で出会った子どもたち。 山の中腹にスキージャンプ台を造り、子どものジャンプと は思えない高さで飛んでいた。この中からオリンピック選 手は出ただろうか。すでに孫のいる世代になっているだろ う。もしかしたらこの中に…

地吹雪の去った朝

村 へ 集落のほかには、見渡す限り雪原が広がっている。この雪原は、春には 水が引かれ見事なまでの水田と化し、蛙の大合唱を聞くことができる。 集落に近づいた頃には青空が広がってきた。道路が雪の吹きだまりに なっていて、歩くのが大変だ。寒いけれど、…