chikusai diary

昭和という時代に どこででも見ることができた風景を投稿しています。

奈良の花街跡 洞泉寺町の旧川本楼を訪ねてみた

 

旧川本楼(町屋物語館)

大和郡山市が購入し耐震化工事の後に一般公開。入館無料。

 

玄関内部(写真の間)

壁には娼妓の写真が飾られていたという。床にある池では金魚が優雅に泳いでいたようだ。


くつ脱ぎ場

左の部屋が娼妓溜


娼妓溜
建物内部から屋外を望む
遊びに来た客は、外から娼妓溜にいる女の顔を眺め…。
 

 

花代・飲食代値段表


『濹東奇譚』に見える私娼窟「玉の井
" 初めて玉の井の路地を歩みたりしは、昭和七年の正月堀切四木の放水路堤防を歩みし帰り道なり。……路地内の小家は内に入りて見れば、外にて見るよりは案外清潔なり。場末の小待合と同じくらいの汚さなり。西洋寝台を置きたる家少なからず。二階へ水道を引きたる家もあり。又浴室を設けたる所もあり。一時間五円を出せば女は客と共に入浴するという。但しこれは最も高価の女にて、並は一時間三円、ちょっとの間は一円より二円までなり。"


左にある階段は娼妓専用か



客は二階の「案内所」へ



ニ階「案内所」より廊下と三階階段を望む

大きな床の間のある部屋だ。「案内所」の北隣には四畳半の「客座敷」がある。


「案内所」側の廊下



三階廊下・東方向を望む



三階西方向を望む(写真上部にはガス灯が見える)



建物北側にある廊下(三階)



三階客座敷へ(上得意客はこちらへ…)

八畳の「客座敷」は真ん中の部屋。


三階客室西側の明り取り窓(反対側にも洒落た窓がある)



まるで茶室のような客室



下宿屋のような客間が並んでいる

奥の「客間」は四畳半。


三畳の客間が、二階と三階合わせて十四部屋



洒落た窓の客間もある



昭和な客間を再現

どの客間にも神棚があったようだ。
荷風の『濹東奇譚』にでも出てきそうな部屋だ。


四畳半襖の下張り』?

板戸に貼ったブロマイドを残して置いたものか。




二階髪結いの間から眺める猪目窓

鉄格子をはめているが、格子が無くても、この窓から出るのはかなり難しそうだ。

 

大階段の壁

何者かの影が…。撮影者の影だろうか?


階段の明り取り窓がこんな所にも




一階北側にある十二畳の主人の部屋



主人一家の私的な部屋は二階にもある



質朴な茶室(天井は贅沢だけど)



帳場から台所の方を望む



帳場の机と窓

精算時に客の顔を見ないように設えてある。左の透明な猪目窓は店に入って来た客の様子を見るための物のようだ。


娼妓の湯飲み茶わん置き場

こういう箱が廊下などに置いてあったようだ。


「町屋物語館」


「歴史を、町を見つめ直し、

そして新たな町の歴史や

人の物語が生まれる。」

※「町屋物語館」リーフレットより



源九郎稲荷神社

日本三大稲荷の一つ。洞泉寺町の一角にたたずむ。社にお参りした後、花街に流れる男もいたことだろう。