集落のほかには、見渡す限り雪原が広がっている。この雪原は、春には
水が引かれ見事なまでの水田と化し、蛙の大合唱を聞くことができる。
集落に近づいた頃には青空が広がってきた。道路が雪の吹きだまりに
なっていて、歩くのが大変だ。寒いけれど、清々しい朝である。
雪原に並んでいる木は、秋には刈り取った稲を掛けるハセ木の役割を
するのだろう。
撮影年:昭和40年代
買物帰り
つかの間の晴れ間に買物帰りだろうか。自家用車を持っている家はまだ少ない時代、
一家の主婦の買物は大変だ。この後、顔写真を撮らせてもらう。
吹雪の去る日を待っていたように、集落の人々のいそいそと出かける姿
をよく見かけた。雪原に朝日が射し目に眩しい。
あたりは暗闇に包まれたよう。吹き飛ばされそうな、凄まじい風の威力である。
私の格好はといえば、カーキー色の綿のジャケットにジーパン、それにゴム長
靴という出で立ち。とんでもなく寒いが、二十歳という若さなので耐えられた
のだろう。
撮影後、東京へ帰ると足の指は軽い凍傷になっていた。