熊野灘の彼方には観音浄土があるという。浄土には現世の飢えや疫病
などの苦しみはなく、安穏に暮らすことができるのだろう。そこへ行
くにはわずか6メートルほどの「補陀落渡海舟」に乗らねばならない。
甲板の小さな船室を四方から鳥居が囲み、内部は大人が横になるのが
やっとの広さだという。渡海するには30日分の食料を持って浄土へ旅
立ち、外に出られないよう、扉は外からくぎで打ち付けられたとという。
舟から逃げ出す修行僧もいたらしいが、見つかると再び沖まで曳航され
(櫂や帆はなかった)放たれたという。俺ら そんなことまでして浄土へ
行きたくないワ(行きつくさきはアリューシャン列島かアラスカか?)。