大正池ホテルが冬季、年末年始の数日間だけ営業していたころ、バスの終点沢渡で降り、雪道を四時間ほどかけてホテルまで歩いたものだ。道中、北風が頬を打ちとても寒い思いをした覚えがある。
夜明け前、大正池の畔で奥穂高・西穂高の峰に朝日があたるのを待つ。ぽっと山頂が赤みを帯び始める。ドラマ(モルゲンロート)の始まりである。
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撮影前日に新雪が数十センチほど積もった。田代池方面に向かおうとして吹き溜まりに足を踏み入れ、胸まで埋まってしまった。もがけばもがくほど、足元から水が上がってくる。ワカンを持ってこなかったことを後悔する。せめて河童橋まで行きたかったが、それは諦めた。
※撮影年:1980年代