chikusai diary

昭和という時代に どこででも見ることができた風景を投稿しています。

伯耆大山のブナ林を歩く


 

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三鈷峰




古い話ばかりで恐縮のいたりだが、体が不自由になった今では、山に登ることも出来かねるので、三十年前のことを語ろう。

あれは一年が終わりを告げようとしていた頃であった。雪がまったく降らない寂しいクリスマスを迎えた日に、伯耆大山では積雪があったと聞き、矢も楯もたまらず雪とブナ林を見たさに京都駅から米子行きの特急電車に乗った。頭の中は雪とブナの林で一杯に詰まっていた。

米子駅から大山行のバスに乗車したのはわたし一人。大山スキー場のある終点に着いたのはよいけれど、スキー場には十センチほどの積雪しかない。あれれ、と思ったけれどスキーをするわけでもなし、当日は写真撮影には遅い時間なので、明日の行動の下見と大山登山道入口(夏道登山口)まで足を運んだ。途中、志賀直哉の小説『暗夜行路』で主人公が泊まった宿坊(現存しないかも)を左に見て登山道入り口から少し上の方まで様子を見に登った。

再びスキー場のあたりに戻り、今夜泊まる宿をさがす。急に思いついた旅なので予算はあまりない。たまたまひと気のない土産物店に、今でいう“ゲストハウス”らしき看板が出ていたので泊めてもらいたいと交渉した。泊まることはできたが、何とも寂しい宿であった。当然宿泊者はわたし一人。

※明日に続きます。 使用カメラ:NEW MAMIYA6


 

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