三十余年前、谷崎潤一郎氏の『陰翳礼讃』に接し、カメラにモノクローム
フィルムを詰め、京都の民家、寺社、通りを飢えた犬のように歩いた。
祇園新橋、宮川町あたりは夜、それも雨の日を選んで撮影した。
けれど、夜に撮影した花街のネガが見当たらない!
あれは夢幻か ! ?
フィルム現像は、家族が寝静まってから台所(現像)と風呂場(水洗・乾燥)
を使用した。翌朝は誰よりも早く起きてネガを撤収した。これが数日続くと
さすがに寝不足だ。
※モノクロといえど30年以上経つと劣化します。半世紀も経つと画像が
一部消えかかっています。