chikusai diary

昭和という時代に どこででも見ることができた風景を投稿しています。

大杉渓谷を歩く 2(岩石の美 ー 冠 松次郎のこと)

 

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大杉谷と冠 松次郎
わたしは若いころに黒部峡谷のことを書いた冠松次郎氏の著作を
幾度も読み返していた。氏は『大台ケ原山と大杉谷』という著作
を残している。その内容の一部を紹介したい。

「堂倉山の家から半日余り大杉谷を下って、森林や、瀧や、釜な
どの美しさに深く魅せられたが、それにもまして私をひきつけた
ものは、この渓谷を埋めてゐる岩石の美観である。

水成岩の美。秩父古生層や、硅岩、硬砂岩、などが様々な面白い
層理を刻み、青い流れの中を無造作に置かれた、その形、その光
沢、さてはその配置までが、云いやうもない優れた自然の構想を
思はせる。豪壮で荒削りで、しかも繊細巧緻を極めた、こんな優
れた大きな美術品が何處にあらう。

花崗岩の渓谷の冷やかな美しさに親しんでゐた私は、この谷を見
てから、水成岩の美しさに、より深い親しさと暖か味を感じた。」

 

 

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