chikusai diary

昭和という時代に どこででも見ることができた風景を投稿しています。

昭和の記憶 神田川エレジー

 

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朝夕、電車の窓から眺めていた神田川

当時、女子のあいだでは “かぐや姫

歌う神田川』がひそかなブームにな

ていたようだ。

 

「貴方は もう忘れたかしら
赤い手ぬぐい マフラーにして
二人で行った 横丁の風呂屋
一緒に出ようねって 言ったのに

いつも私が 待たされた
洗い髪が 芯まで冷えて
小さな石鹸 カタカタ鳴った
貴方は私の からだを抱いて
冷たいねって 言ったのよ

……

窓の下には 神田川
三畳一間の 小さな下宿
貴方は私の 指先見つめ
悲しいかいって きいたのよ

若かったあの頃 何も恐くなかった
ただ貴方のやさしさが 恐かった」

 

この歌を聴くたび思い出すことがある。

黒く澱んだ神田川沿いのゴミ捨て場から

ゴミ運搬船が出ていく姿を。そして聖橋

から神田川に飛び込んだ知り合いの女の

子のことを。思い出は、甘くはなかった。