寝る前1分の「エセ―」
焦げ具合を言いうる者は弱い火に焼かれている者だ。
と恋人たちは言って、堪えがたい恋の焔をこう表現しようとする。
恋はあわれな私からすべての感覚を奪った。なぜならレスビアよ、
私はおまえに会うと、とたんに理性を失い、言うべき言葉も知ら
ず、舌はもつれ、えも言われぬ火が五体に拡がり、耳はなり、目
は闇に閉ざされるからだ。
味わったり、消化したりできる情熱はすべて平凡なものでしかない。
※モンテーニュ『エセ―』より。写真と本文は関係がありません。