読者よ、これは正直一途の書物である。はじめにことわっておくが、
これを書いた私の目的はわが家だけの、私的なものでしかない。あ
なたの用に役立てることも、私の栄誉を輝かすこともいっさい考え
なかった。そういう試みは私の力に余ることだ。私はこれを、身内
や友人たちだけの便宜のために書いたのだ。
つまり彼らが私と死別した後に(それはすぐにも彼らに起こること
だ)、この書物の中に私の生き方や気質の特徴をいくらかでも見出
せるように、また、そうやって、彼らが私についてもっていた知識
をより完全に、より生き生きと育ててくれるようにと思って書いた
のだ。
※モンテーニュ『エセ―』序文より。写真と本文は関係がありません。
※わたしたちのブログについても同じことが言えるのでは
ないだろうか。ある批評家は小説は遺書たりうるか、と言
っていたが、「小説」を「ブログ」と置き換えてみたなら
どうであろうか?