昭和の記憶
ハーバーライトが朝日に変る その時一羽のかもめが翔んだ 人はどうして哀しくなると 海をみつめに来るのでしょうか 油の匂いに癒され、船の動力の音が「子守唄」だった あの頃…
寝る前1分の「エセ―」 ある人は貧困になるためにお金を海に投げ入れたが、 その同じ海を多くの人々が富を釣り上げるために 四方からかき廻す。 エピクロスは、富むことは厄介をなくすことではなく、 別の厄介と取り換えることだ、と言った。 実際、吝嗇を生…
寝る前1分の「エセ―」 ところで、ある人たちが恐ろしいもののうちで もっとも恐ろしいものと呼んでいる死を、 別の人たちが現世の苦しみの唯一の避難所、 自然の最高善、われわれの自由の唯一のよりどころ、 万病に効く速効薬と名づけているのを知らぬ人は…
寝る前1分の「エセ―」 軽い悲しみは語り、深い悲しみは沈黙する。
・ 寝る前1分の「エセ―」 悲しみのために石と化した。 われわれの力を越えるいろいろな出来事に圧倒されたときに 呆然として声も出せず、耳も聞こえなくなるあの沈鬱な痴呆 状態を表現しようとしたのである。 実際、悲しみの力が極まると魂全体を驚愕させ、…
寝る前1分の「エセ―」 焦げ具合を言いうる者は弱い火に焼かれている者だ。 と恋人たちは言って、堪えがたい恋の焔をこう表現しようとする。 恋はあわれな私からすべての感覚を奪った。なぜならレスビアよ、 私はおまえに会うと、とたんに理性を失い、言うべ…
読者よ、これは正直一途の書物である。はじめにことわっておくが、 これを書いた私の目的はわが家だけの、私的なものでしかない。あ なたの用に役立てることも、私の栄誉を輝かすこともいっさい考え なかった。そういう試みは私の力に余ることだ。私はこれを…
湾岸都市の黄昏時
簡易宿所街 裸の町? 空き部屋あります … 今日の仕事はつらかった あとは焼酎をあおるだけ 岡林の歌が似合いそうな町だ。
黄昏のベニスとは 似ても似つかぬ港町十三番地の夕暮れ。
仕事は終えたのだろうか。一台の自転車がトラックの消えた埠頭をぐるり…ぐるりと周る。 そんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ だから今日はくよくよしないで 今日の風に吹かれましょう まわる まわる…